elm200 の日記

旧ブログ「elm200 の日記(http://d.hatena.ne.jp/elm200)」

日本人は海外に脱出することなんてできない

久しぶりに時事ネタについて、ブログを書いてみよう。ブログとなるとつい気構えてしまうのだが、ツイートする感覚で気軽に書いてみる。したがって内容は薄くなると思うがご了承ください。

toyokeizai.net

とりあえずこんなツイートを流してみた。

いつもはこの後、連続ツイートをするのだが、今日はツイートの代わりにブログに書いてみよう。

この手の話題が大好きなはてなーたちはブックマークコメント上で大盛り上がり。

b.hatena.ne.jp

その中の典型的なコメントの一つがこのようなもの。

sasagin やっぱりいつでも日本を捨てれる用意はしておかないといけないよね。英語はその第一歩。

まあ、理論上はそうなんだけど、「日本を捨てる」のは現実には非常に難しい。この sasagin さんは違うかもしれないが、日本人は一般的に、海外で働くことの難しさを舐めている。駐在員として日本人が大勢海外で働いているから、なんとなく海外で働くのは簡単という印象を持っているのかもしれないが、それはその人が信用のおける大組織の一員として海外に出ているからこそ働けるのであって、一般論として、個人が独立して海外に行って働くのは非常に難しい。端的に言えばほとんど無理だ。そういう人たちには就労ビザが下りないからだ。

(一応解説しておくと、外国人という存在は、どの国でも、原則として就労はできない。就労ビザとか労働許可とか、国によって制度はいくらか違うが、いずれにしろ、国からの公式の許可があってはじめて、就労できるのである。だから、語学力だとか、企業からのオファーだとか、それも大切だけど、そんなものより、就労ビザが一番大切なのである。現に、本人に能力も意欲もあり、企業も働いてほしいと願っているのに、ビザが下りないがゆえに、泣く泣く帰国するなどということは、日常茶飯事だからだ)

発展途上国ならまだビザは下りやすい(当然、給料は非常に低いが)。先進国で外国人が就労するのは非常に難しい。移民国家と言われていた米国でさえ、トランプ政権の消極的な移民政策とも相まって、米国の大学を卒業した若い人たちでさえ、仕事を見つけられず、あるいはビザの更新ができずに、泣く泣く帰国することが増えているそうだ。

アメリカ留学に異変、トランプ政権下で変わる移民法と留学生への影響 – 留学コラム|iae留学ネット

焦点:米国で専門職ビザの差し戻し急増、外国人採用に暗雲 | ロイター

こういう海外で働くことの大変さがまるでわかっていない人たちが、日本に来る移民たちについて論じている。正直、不毛な感じではあるが、みんな海外経験があまりないのだろうから、責めるのも気の毒かもしれない。実際、私だって、29歳でカナダに渡るときまで、海外の移民事情なんてまるで知らなかったからね。

現実的に海外に渡る方法は次の3つくらいかなあ。

  1. 若くて優秀な人が、先進国の大学に行き、卒業後、現地で就職する。これが王道中の王道。ただ、国によっては、費用が非常にかかる上に、最近は先進国の多くが移民受け入れに慎重になりつつあって、以前ほど簡単ではなくなっている。

  2. 海外に支店・工場を持つ日本企業に就職し、そのツテで海外に行く。駐在員として赴任すれば経済的には恵まれる。ただ、当然、所属企業の都合に従う必要があるから、行く国は選べないし、いつ日本に戻されるかもわからない。現地で日系企業に就職することもできるが、報酬は期待できない。この方法で、先進国に行くのはまず無理で、働く国はたいてい発展途上国になる。とはいえ、特定の国に長くいたい場合には、一番現実的な方法。

  3. お金持ちなら、現地に投資することで長期の就労ビザまたは永住権が得られることがある。何らかの事情で日本を脱出することだけが目的なら、外国で遊んで暮らしてもいい。それくらいのカネはあるのだろうから。

ということで、中年以降の人間が海外に出ようと思った場合は、現実的には、2か3しかない。2も駐在員になるのは難しく、現地採用は経済的に寂しいものがある。いっそのこと、日本でカネを貯めるだけ貯めて、3のコースで海外に出るのがなんだかんだ言って一番いい方法かもしれない。だから、外国に住む→英語力とおもっている人たちが多いけれども、実際に一番必要となりかつ頼りになるのは、カネだったりするのだ。本当にたくさんカネがあれば、外国語など話さなくても通訳を雇えばいいだけの話だしね。

これから、日本経済がどんどん衰退して、人々が貧乏になるという話をしているときに、どうしてカネが一番モノを言う海外脱出ができるというのだろうか。9割以上の日本人は、たとえその意志があったとしても、海外に脱出なんてできないのである。だから、日本で自分の人生を何とかするしかない。結局、自分自身でミクロ的に道を切り開いていくしかないのだが、できればマクロ的な環境もよければサバイバルが楽になるのは確かだ。

いまは日本人はあれこれ言っているけど、今日私が書いたような事実を知るにつれて、現実に向き合うしかなくなるだろう。移民受け入れしかない。まあ、移民というか、現実には、外資を導入して、その管理職の人たちがやってくる、という形で外国人が入ってくる可能性も高い。日本企業が30年前、中国に進出したときのような感じ。その逆バージョンが日本で起こるわけだ。

その先進的な例がニセコなのかもしれない、と私は思っている。

gendai.ismedia.jp

この著者には、一定のバイアスがあり、あたかも外国企業が日本に侵略してきたみたいないい方になっているが、実際には、地元自治体は外資を勧誘したようだし、日本人が英語バリバリのホテルでホテルマンはやれなかったとしても、当然、裏方やら、出入り業者やらの日本人たちは一定程度潤っているだろうし、税収だって上がっているだろう。いずれにしろ、誰もビジネスをしなくて、衰退していくよりずっとマシだろう(まあ、あんまり言うとかわいそうだが、同じ北海道には夕張という、うまく行かなかった例もある)。

多くの日本人は、外国には行かないし、行くこともできない。だが、実際には、日本の人口減を埋めるように、外国資本と外国人が入ってくる。そういう外国人に直接雇われる日本人もいるだろうし、取引する日本人もいるだろう。いずれにしろ、彼らのカネと知恵と人脈を借りて、日本はほそぼそと生き残っていくに違いない。いや、生き残るどころか、日本人と外国人(移民)との間に、新しい化学反応が起こって、実はなにか素晴らしいことが起こる可能性さえある。まあ、過去を振り返ってみても、日本が発展した時期というのは、いつでも海外に対して開放的な時だったからね。