elm200 の日記

旧ブログ「elm200 の日記(http://d.hatena.ne.jp/elm200)」

低炭素電源と火力発電の構成比率推移

日本の夏が異常に暑くなっていることからも分かるように、気候変動の影響が世界中に出てきている。温室効果ガスとしてのCO2を削減することが急務である。CO2はいろんなところから出ているが、まずは電源がいちばん脱炭素化しやすいので、ここから取り組むのが大切。

電源は大きく分けると、火力発電と低炭素電源(再エネ・原子力)がある。火力発電は、地中に埋まっていた炭素を掘り起こして、CO2の形で大気中に放出するので、地球温暖化を促進する。一方で低炭素電源は、発電時にはCO2を大気に放出しない。

実は、バイオマス発電とごみ発電というのが統計上別項目になっていることが多く、火力+低炭素で100%にならない。ちょっとわかりづらいので、炭素中立性から判断して、バイオマスは低炭素電源、ごみ発電については50%は低炭素電源、50%は火力発電ということにした。

Grokに手伝ってもらい、2014年と2024年について、低炭素電源と火力発電の電力構成比較を行った。対象国・地域は、中国・インド・EU・米国・日本。本当は、Grokの調査結果を自分なりにまとめ直すつもりだったが、Grokが分かりやすく出力してくれたので、そのまま載せることにする。例によって但し書きだが、これはAIの出力なので正確性は保証できない。ただ、ざっくりした傾向は正しく示しているとは思う。もし厳密に正確な数字がほしい人は、 IEA、Ember、Our World in Data、EIAなどのデータソースに当たってみてほしい。

まずは Grok の出力を示す。その後に私の感想を書き加えたいと思う。


中国

中国は再生可能エネルギー(特に太陽光・風力)の爆発的成長で低炭素電源が急増。火力(主に石炭)は需要増でシェアを維持しつつ、2024年にピークアウトの兆し。バイオマス(約2%)を低炭素に、ごみ発電(約0.5%)を半分ずつ割り当て。

低炭素電源 (%) 火力発電 (%) 主な変化のポイント
2014 約25% 75% 低炭素: 水力中心(15%)、原発2%、再エネ8%。火力: 石炭65%、ガス3%。
2024 約43% 57% 低炭素: +18%増(風力11%、太陽光10%、水力13%、原発5%、バイオマス2%)。火力: 石炭56%、ガス3%。風力+太陽光の容量が石炭を上回り、再エネ成長が石炭シェアを押し下げる。

インド

インドは石炭依存が強く、低炭素電源の成長は太陽光・風力中心だがシェアは緩やか。バイオマス(約2%)を低炭素に、ごみ発電(約0.5%)を半分ずつ。火力の減少は限定的で、需要増が課題。

低炭素電源 (%) 火力発電 (%) 主な変化のポイント
2014 約18% 82% 低炭素: 水力10%、原発2%、再エネ6%。火力: 石炭70%、ガス7%。
2024 約27% 73% 低炭素: +9%増(太陽光8%、風力5%、水力9%、原発3%、バイオマス2%)。火力: 石炭71%、ガス3%。再エネ容量は倍増も、発電シェアは石炭に押され。

EU欧州連合

EU再生可能エネルギー政策(グリーン・ディール)で低炭素電源が急拡大。石炭・ガスの火力が大幅減。バイオマス(約5%)を低炭素に、ごみ発電(約1%)を半分ずつ。2024年に太陽光が石炭を上回る。

低炭素電源 (%) 火力発電 (%) 主な変化のポイント
2014 約50% 50% 低炭素: 再エネ25%(風15%、水力10%)、原発25%。火力: ガス20%、石炭25%。
2024 約70% 30% 低炭素: +20%増(風・太陽光27%、水力12%、原発23%、バイオマス6%)。火力: ガス17%、石炭12%。化石燃料シェアが40年ぶり低水準。

米国

米国は天然ガスシフトと再エネ成長で火力が減少し、低炭素電源が増加。風力・太陽光が石炭を上回る。バイオマス(約1%)を低炭素に、ごみ発電(約0.5%)を半分ずつ。2024年に風・太陽光が17%超。

低炭素電源 (%) 火力発電 (%) 主な変化のポイント
2014 約32% 68% 低炭素: 原発19%、再エネ13%(風力6%、水力6%、太陽光0.5%)。火力: 石炭39%、ガス27%。
2024 約42% 58% 低炭素: +10%増(原発18%、風力10%、太陽光7%、水力6%、バイオマス1%)。火力: ガス43%、石炭15%。再エネが石炭超え、ガスが主導。

日本

日本は福島事故後の原発停止で火力依存が高まったが、2024年に原発再稼働と再エネ拡大で低炭素回復。バイオマス(約5-6%)を低炭素に、ごみ発電(約1%)を半分ずつ。LNGと石炭の火力が主力。

低炭素電源 (%) 火力発電 (%) 主な変化のポイント
2014 約18% 82% 低炭素: 原発0%、再エネ18%(太陽光6%、水力8%)。火力: 石炭30%、ガス40%、石油10%。
2024 約35% 65% 低炭素: +17%増(原発8%、太陽光11%、水力8%、バイオマス6%)。火力: ガス31%、石炭28%、石油2%。再エネシェア26.7%、原発再稼働で低炭素向上。

全体の傾向と示唆

  • 低炭素電源の増加: 各国で10-20%ポイント上昇。再生可能エネルギー(太陽光・風力)が主導で、中国・EUで顕著。原発は日本・EUで回復傾向だが、インド・米国は安定。提案分類(バイオマスを低炭素、ごみ発電を半分ずつ)で、低炭素シェアが押し上げられ、合計100%。
  • 火力発電の減少: 全体で5-20%ポイント減。石炭が主な減少要因(EU・米国で急減、中国・インドで緩やか)。ガスは需要増でシェア維持も、将来的に再エネ置き換えが進む。
  • 課題: 中国・インドの石炭依存がグローバル排出を押し上げ。EU・米国の成功(政策・投資)は日本・インドのモデルに。ごみ発電の「半分」扱いは簡略化なので、実際のCO2排出は化石由来分で調整が必要。
  • データ注記: シェアは発電量ベース。2014年はOur World in Data/IEA歴史データ、2024年はEmber/IEA最新報告。変動要因(天候、政策)で±1-2%の誤差可能性あり。

データソース: IEA(Global Energy Review 2025)、Ember(Global Electricity Review 2025)、Our World in Data、EIA


この10年で、各国とも着実に火力発電比率が下がっているのは素晴らしい。火力発電からの脱却が一番進んでいるのはEU。わずか30%しか残っていない。このペースで火力発電からの脱却が進めば、2034年には火力への依存度を10~15%程度まで下げることもできるのではないか。

中国は新興国の中では模範的な動き。火力発電が75%→57%と大幅に下がる一方で、再エネは25%→43%と大幅増。火力発電への依存度では日本(65%)を下回るように。中国はクリーンテックで世界をリードする存在であり、きわめて精力的に再エネを推進中で、2034年までには再エネは50%を大きく超え、最大の電源になっているだろう。

火力発電の比率が高めなのは、インドと日本。インドは、火力発電は82%→73%と9%ほど構成比率が下がったものの、火力の中での石炭の比率はむしろ高まってしまった。ただ、いまインドでは急ピッチで太陽光発電の導入が進んでいるので、2034年には火力発電比率はさらに下がることが期待できるだろう。

問題は日本。2014年には火力比率が82%とインド並みだったのが、2024年には太陽光発電の大量導入と原発再稼働で65%まで下げることができた。低炭素電源は35%。問題はこの先である。まず日本の特異な点は風力発電がほとんどないこと。バランスが悪いので、風力をもっと入れるべきなのだが、いろいろ問題が多く話が進まない。太陽光発電は一部のメガソーラーが嫌われてしまい、社会的受容度が低下傾向。屋根置きや営農型といった受容されやすい手法は残されているものの、今後の大量導入に黄色信号が点灯している。原発の再稼働も大きくは見込めず、新設に至ってはほとんど不可能。下手すると、今後、インドにも低炭素電源の導入競争で敗れて、国際的非難が高まる可能性がある。2034年頃にはそんな状況に陥るのではと懸念している。

世界的な傾向として、電源の脱炭素化は着実に進行している。そして、これとEVを組み合わせることによって、陸上交通の脱炭素化も進めることができる。低炭素電源の主力は再エネ。再エネ化とEV化は、手を携えて脱炭素化を推進し、この気候危機から地球を救っていくのである。