私はこのところずっとAIによる技術的失業の話を続けている。しかし、今のところ目立つのは「AIがプログラムを書けるようになったので、経験の浅い若いソフトウェアエンジニアたちが仕事を失っている」程度。もともとソフトウェアエンジニアは高給取りだったし、そういう連中が失業したからと言って世間はさほど同情しないかもしれない。
しかし、比較的薄給な肉体労働者たちがロボットに仕事を奪われていくと人々は色めき立つだろう。低所得な人は、資産をあまり持っていない人たちも多く、こういう人たちの仕事がなくなっていくと深刻な社会不安に見舞われることになる。だから、こういう人たちの仕事を置き換えるロボットがいつごろ登場するのか当たりをつけておくのは重要。
私は人型ロボットに注目している。人型ロボットは形状が人間に似ているため、人間の行ける場所にはどこにでも行ける。人間が操作できるものは何でも操作できる。だから理論上あらゆるタスクをこなす潜在能力を持っているのだ。
例によってAIに調べてもらう。AIはハルシネーションがあるので正確性に難があるが、大雑把に状況をつかむには便利。ここで提示するものも、そういう風に見てもらえればよいかと。今日は Grok 君に助けてもらった。
人型ロボットは主に米国と中国で開発が進んでいる。
米国のトップランナーはテスラだ。Optimusという名前の人型ロボットを作ろうとしている。以下はGrokの解説。
2025年:パイロット生産中。Teslaの工場で数百〜数千台を内部使用予定(当初目標5,000台だったけど、遅れで数百台規模)。Elonは「年末までに数千台を工場に投入」とXで言ってる。生産ラインはTexasのGigafactoryで構築中、月産1,000台を目指す。
テスラはすでに自分のEV工場内で仕事にこれらの人型ロボットを使っているらしい。一応2026年には5万~10万台作るとイーロン・マスクは言っているようだが、これは例の「イーロンタイム」で進捗は遅れるだろう。テスラ以外のベンチャー勢はまだ量産を始めていないらしい。
それより注目すべきなのは中国勢だ。中国勢は、テスラに比べるとAI部分はまだ弱いものの、より安価で迅速な市販開始を目指している。2025年の生産計画を示す。
- Unitree Robotics: 1500台以上
- Agibot: 3,000〜5,000台
- UBTECH Robotics: 数百台
このほかにも、XPeng, Kepler Exploration Robotics, Xiaomi などが大量生産を目指しているらしい。
Unitree Robotics に関してはこの動画がバズっている。"Price from $5,900" なんて書いてあるが本当だろうか??実際、人間も顔負けな俊敏な動きを見せている。これが単なるコンセプトモデルなのか、それとも市販版なのかは不明だが、たいへん興味深い。
Grok にテスラと中国勢を比較してもらった。中国勢がテスラを上回る可能性は?
量産で上回る:はい、すでに上回ってる。中国全体で2025年に30,000台注文の見込み(10倍増)。Teslaは5,000台目標だけど、中国のAgibotやUnitreeが同等か超える。EVみたいに、価格競争で中国が市場シェアを奪うかも。
対抗・超えのポイント:実用性(工場・サービス業)で中国リード、AI知能でTesla優位。Jensen Huang(Nvidia CEO)は「人型ロボット時代は中国から始まる」って言ってるよ。 ただ、貿易制限(稀土類)でTeslaが不利になる一方、中国勢は地元優位。
リスク:中国のロボットは「80%の能力で30%安い」って評価もあるけど、品質安定や国際展開が課題。Teslaのグローバルブランド力はまだ強い。
人型ロボット開発は緒に就いたばかりなので、社会全体に広がっていくのはまだ少し先になる模様。Grok 曰く、まずは工場や倉庫で活躍するだろうとのこと。たしかにこういう人工的な場であれば、環境をコントロールしやすいので、ロボットは活動しやすいだろう。スーパーや家庭など、多様な人たちがいる複雑な環境に入ってくるのは2030年以降だろう。宅配サービスも自動運転車やドローンなどとの組み合わせで実用化していくものと思われる。
理論上は肉体労働をロボットが代替していくのは必然に思えるが、今日調べたかぎりでは一夜にして起こるというのは難しそうだ。ここからは山勘だが、本当に実用的なロボットが社会の隅々で働くようになるのは20年後くらいではないだろうか。技術が進歩するだけでなく、受け入れる社会側もいろいろ考えを変えなければならないので、それくらい長い時間はかかりそうである。逆にいえば向こう20年間くらいは肉体労働は形を変えつつ存続するだろうと言えるのかもしれない。少なくともコンピューターの画面の上で完結してしまうホワイトカラーの仕事よりずっと長く生き残りそうである。