elm200 の日記

旧ブログ「elm200 の日記(http://d.hatena.ne.jp/elm200)」

希望を持ち続けることについて

米国で、民主党所属で民主社会主義者のマムダニ氏がニューヨーク市長選に当選した。米国はどこでもそうだが、特にニューヨーク市はこの数年物価高騰(特に家賃)に見舞われていて、ごく普通の人が普通に働いているだけでは家賃が払えない状態になっていた。そこでマムダニ氏は家賃の凍結・公共バスの無料化・安く食料が買える公営スーパー等、生活に苦しむ人たちを直接支援することを公約に掲げた。財源は、企業や富裕層への増税。若年層を中心に圧倒的な支持を獲得して当選した。

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マムダニ氏自身は、アフリカ生まれでインド系ムスリムの移民というまさにマイノリティ中のマイノリティ。だから、もちろん、多様性や移民といった民主党アジェンダも掲げてはいる。しかし、優先順位としては、経済問題の解決が先という姿勢をはっきりさせた。

去年の大統領選でトランプ氏を支持した無党派層の人たちの多くは、物価高騰等で苦しくなった生活を改善してほしいと藁をすがる思いだったはずだ。しかし、実際の政策は庶民の生活をさらに苦しくするようなものばかりだった。高率の輸入関税。大企業・富裕層向けの減税の一方で、低所得者向け援助の削減。

ここ最近の米国は、大企業や富裕層が政治資金を提供することで、政治家が大きな影響を受けて、こうした金持ち向けの政策しか実行されない国になっていた。政治家は大企業や富裕層からの政治資金を絶って、むしろ彼らに増税することで財源を作り、中間層や低所得層を支援すべきだったが、そういう政策は行われてこなかった。

だから、私はマムダニ氏が当選したことに、久しぶりの希望の光を見たのである。マムダニ氏の掲げる政策は、まさに富裕層に課税し、庶民を助けるものであったからである。ようやく、いまの米国をめぐってあるべき姿の政策を実行すると公約する政治家が現れたと私は思った。

もちろん、マムダニ氏はこれから既得権益者との戦い、共和党の大統領であるトランプ氏からの圧力、増税を通じた財源の確保など、困難な闘いが多くあるだろう。実際には、公約はあまり実現できないかもしれない。しかし、政策の方向性としては正しいと私は考えている。

私は、トランプ政権下の米国に絶望しきっていたので、マムダニ氏の登場は、暗闇にともる一本のろうそくのように私の心を暖かく照らし出した。マムダニ氏は1年前は無名の泡沫候補だったという。彼は、たった一人で街に立ち、市民との対話を試みた。最初は、無視されて誰も立ち止まってくれなかった。それが徐々に支持の輪が広がり、多くのボランティアが彼の選挙活動を手伝い、最後は雪崩を打つような大きな動きになった。

もし彼がニューヨーク市長になろうと決意していなかったら?トランプ主義の台頭を前にして「仕方ない」とあきらめていたら?彼は今いる場所に立ってはいなかっただろう。そして、米国を遠く離れて暮らす私の心を明るくすることもなかっただろう。

私は、深く自分自身を反省した。私は、あまりに皮肉主義に耽溺しすぎてきたのかもしれない。トランプ主義に心を砕かれすぎていたのかもしれない。私は受け身すぎて物事をあきらめるのが早すぎたのかもしれない。

私はいままで日本社会の現状に絶望してきた。だが、斜に構えていても得られるものは何もない。私はこんな状況であっても、日本の未来に希望を見出すことにする。

その希望はすぐには実現しないだろう。しかし、物事には必ず浮き沈みがあるものだ。数年、あるいは数十年、停滞した後に、再び浮上する。そういうイメージを持ちながら、日本を見ていきたい。批判するときにも、どこか建設的な要素を残していきたい。

私が思うに、いま日本をダメにしつつあるほとんどの要素は、自分たちの生活や収益が悪化する恐怖から、現状にしがみつこうとすることから生まれていると考えている。そう考えると、彼らが必要としているのは「変化しても大丈夫だよ」という暖かい支援の言葉なのかもしれない。

私もまた、変化を楽しみ、人々の心を明るくする存在でありたいと思った。