elm200 の日記

旧ブログ「elm200 の日記(http://d.hatena.ne.jp/elm200)」

カネにどれほどこだわるべきか

親はなぜ子供に「勉強しろ」と言うのだろうか?子供に良い成績を取ってほしいからだ。なぜ良い成績を取ってほしいのか。良い学校に行ってほしいからだ。なぜ良い学校に行ってほしいのか?良い会社に入ってほしいからだ。

この先はよくわからない。なぜ良い会社に入ってほしいのだろうか?「良い会社で働いている」という社会的ステータスが欲しいのか。それとも良い会社がくれるであろう高い報酬、つまりカネが大切なのか?

おそらく報酬が低すぎれば高い社会的ステータスは維持できないだろう。だから、高収入が社会的ステータスに影響しているのは間違いない。だとすれば、やはりカネが稼げるということが重要なのかもしれない。

そうなると、最初に戻って、親が子供に向ける「勉強しろ」というメッセージは実は「大人になったらカネを稼げよ」という意味に過ぎないのだろうか。

だったら、もっと貪欲にカネを稼げる職業から逆算して将来設計したらいいのではないだろうか?「いい学校に行って、いい会社に入る」とか、ちょっと漠然としすぎている気がする。

子供も10歳くらいになれば、だいたいどういう資質を持っているのかうっすらわかるだろう。勉強に向いているのかいないのか。人間関係を作るのが得意か苦手か。体を動かすのが得意なのか不得意なのか。

そこらへんでその子供にとって一番カネが稼げそうな職業にあたりをつけてそれに向けて専門の教育を受ける。そして十分な知識とスキルを身に着けたら、その職業に就く、と。例えば、勉強があまり得意でないのに、無理やり勉強させようとするのは、その子にとっても気の毒だし、社会的にも大きな意味がないのではないだろうか。

そして、どの道に進むにしろ、マネーリテラシーだけは徹底的に教育する。正直、カネのことだけにこだわるなら、労働所得は入口にすぎない。所得を得てそれを全部消費してしまうなんてもってのほかだ。手取りのなるべく大きな割合を天引きして、投資に回す必要がある。最低2割、可能なら4割を目指そう。投資先は、株式インデックスで良いだろう。リスクを取りたければ NASDAQ 100、無難にやりたければオールカントリーで。価格は上下するが気にしない。ひたすらホールド。出口戦略は考えない。銀行預金みたいなものだと思って、必要なときに取り崩せばよい。

向こう10年20年のスパンで考えると、徐々に稼ぎの良い仕事がAIやロボットの普及によって減っていくことが予想される(高給だったソフトウェアエンジニアが減り始めているのがその象徴)。ベーシックインカムがうまく導入されればよいのだが、政治的に極めて困難な道なので、期待しすぎない方がいい。そうなると、労働所得がまだあるうちに稼ぎまくり、その多くを投資に回して資産形成をしておくことが極めて重要になる。これが「沈みゆくタイタニック号の救命ボート」になる。

……とここまで書いてきたが、これを読んで「なんてつまらない人生だ」と思った人たちも多いだろう。私も正直そう思う。カネにこだわるのは生き残りの確率を最大化する上では合理的だが、カネを至上の目的に生きる人生はあまりに味気ない。

普通に好きなように生きて、稼げるかどうか関係なく好きな仕事をして、恋愛して、結婚して、子供を作って、家を建てて、と生きた方がよほど人間らしい気もする。そして、将来、AIの影響で失業したら、ベーシックインカムをよこせとデモに参加して、機動隊に石でも投げつけている方がよほど良いかもしれない。その結果、仮に長く生きられなかったとしても、その方が充実した一生といえるのではないだろうか。

「カネにどれほどこだわるべきか」という質問には簡単に答えが出ない。カネは確かに生きていく上で大切なものだが、その優先順位をどこに置くのか。それは一人一人が考えて決めるべき事柄であるだろう。