elm200 の日記

旧ブログ「elm200 の日記(http://d.hatena.ne.jp/elm200)」

アニメを見るのをやめて、Vtuber を見始めました

なんとなく恥ずかしかったので、あまり公言してこなかったのだけれども、この3年くらいは、私はアニメをすごく良く見ていた。いわゆる深夜アニメ。どんなジャンルと言われるとよくわからないが、結果的にざっくり言えば、萌えアニメが多かった気がする。私は、あんまり突飛な設定のファンタジー物は好きではないので、現実を舞台にした作品というと、ほとんどが萌えアニメになってしまう。個人的には、京都アニメーションの作品が好きだったかな。響けユーフォニアムとか。

アニメを見るのは楽しかったし、いろいろ人生や社会を学ぶことができる作品もあった(SHIROBAKOとか、ちょっと古いけどプラネテスとか)。ただ、男性向けアニメの多くの作品における女性観に馴染めなかった。あまりに男性の妄想に忠実すぎるというか、都合が良すぎるというか。リアリティがまるで感じられない作品が多かった(もちろん全部じゃないけどね。いまやっている「ヒナまつり」の女性たちはなかなかリアルで良いと思う)。

たまたま今年4月からの期のアニメがあまり興味が持てなかったこともあり、去年の暮あたりからぼちぼち見始めたバーチャルユーチューバ(Vtuber)を本格的に見始めたのだけど、これが大変面白い。最初、ミライアカリとかキズナアイとか一般的なものから始めて、富士葵の素晴らしい歌声にやられた。だが、本当にやばかったのは、じつは「にじさんじ」勢だった。チープな2Dの絵を使って生配信をする人たちの集団なのだけれども、素人くさいところがかえってすごく生々しく、それぞれの個性が良く出ていて、面白い。にじさんじには、私も他の人たちと同じように、いちばん人気の月ノ美兎から入った。この「自称」女子高生は、実に素晴らしいエンターテイナーで、サブカルに造詣が深く、語りの切れ味が実に素晴らしい。彼女の企画の一つを通じて、こんどは鈴鹿詩子というVtuberを知った。彼女は、腐女子であり、BLについて実に生き生きと語っている。まあ、これらはほんの一例で、とにかくさまざまな Vtuber たちの個性が炸裂しているのがこの2018年の現状なのである。

あんまり他のものを腐しても仕方ないのだが、正直、現在の生き生きとした Vtuber 現象と比較すると、いまの日本のアニメはいかにもマンネリで、特定の、カネを落としてくれそうなファン相手に特化しすぎている感があり、ずいぶん興味が薄れてしまった。人気 Vtuber は現在のところ女性のほうが多いのだが、アニメの女性キャラよりずっとリアルな女性に近く、個性があって魅力を感じる。

こうやって考えると、世の中には才能にあふれた人たちがたくさんいるのだなあ、と改めて思う。テレビの場合は、放送の枠が限られていたために、そこにタレントを押し込む力を持つ芸能プロダクションが幅をきかせ、タレントを強圧的に支配した。それに比べると Vtuber たちはバックに企業がいることは多いとはいえ、みな、純粋にタレントを支援する姿勢を維持しているように見えるのは好感が持てる。これは Youtube, Mirativ, SHOWROOM などの配信媒体がTVの放送枠のように排他的ではなく、基本的に誰でも何時間でも配信できるからだろう。チャンネルの希少性が解消された結果、個人の個性が全面的に開花したのだ。素晴らしいテクノロジーの勝利だと思う。

ブームである以上、いつかはこのムーブメントも失速することもあるだろう。だが、いまはとにかく面白いので、しばらくは Vtuber たちの活躍を見守っていきたいと思っている。