elm200 の日記

旧ブログ「elm200 の日記(http://d.hatena.ne.jp/elm200)」

椅子取りゲーム:BIと資産形成

昨日、私は「AIによる技術的失業に備えてBIを整備してほしいが、時間がかかるだろうから、その過渡期を生き抜くためには結局、資産形成が必要だろう」と述べた。そして「AIによる技術的失業はすでに始まっていて、米国のビッグ・テックの巨額の利益にそれが表れている。セルフBIとしてビッグ・テックに投資したらよいかも」と述べた。

個別にビック・テックの株式を買うのも良いだろうが、個人的には NASDAQ 100をお勧めしたい。NASDAQ 100は、米国NASDAQ市場の金融セクターを除く時価総額上位100銘柄で構成されている。NVidia, Microsoft, Apple, Alphabet(Google), Amazon, Meta, Tesla, AMD 等の「AIの進歩によって恩恵を受けそうな銘柄」が多く網羅されている。

過去30年で価格が実に40倍(!)になっている。これは10年で3.4倍になっていることを意味する。年率13%の上昇率。13%の利回りのある資産なんてめったにない。しかもこれはインデックスなので常に伸びしろのある新しい銘柄に入れ替わっている。私の定義するところの「不老不死の資産」だから、出口戦略を考える必要がない。ずっと保持し続けて、現金が必要になったら売ればよいだけだ。

もちろん期待収益率が高いということは価格変動(ボラティリティ)も高いということだ。他の代表的なインデックス S&P 500に比べると下がるときは、より大きく下がる。また、過去の成績が良いからと言って、それは未来を何も保証しない。今後10年以上、今の水準で停滞する可能性もある。

もちろんこれは私の考えだし、投資方法には他にもいろいろあると思う。投資は自分との相性も大きいので、人それぞれ考えて自分に合ったやり方を見つけるのが良いと思う。私は投資アドバイザーではないし、投資は自己責任で、というよくある注意書きを残しておく。

ただ、投資によって生き残るというのは、基本的に「椅子取りゲームで勝ち残ろう」という話と同じである。全員を救うことはできない。現状では、人間が労働する必要がある以上、誰かが働かなければならない。投資の収益で生活が楽になったり、早期退職できたとしても、それはどこかで働いてくれている人がいるおかげだ。

しかもややこしいことに、今後はAIの普及によって、人間が失業していく。こうしたビック・テックの株式を持っているなら、AI化の恩恵を受けることができるのだが、それすらないとすると、本当に困窮してしまう。非常に暗い予感なのだが、このままではそれが確実に起きそうである。

BIはいちばん直感的でわかりやすい方法だとは思うけれども、AIの技術的失業に対応する別の方法としては、「AIの所有権を均等に分配する」というやり方もある。つまり、AIを部分的に所有することによって、その稼ぎの一部を配当してもらうという考えだ。

具体的には「AIを所有して生産している企業」の株式を所有するという形になると思う。政府が国民が生まれたときにAI企業の株式を一定額その人に付与する。するとその人は一生涯、その株式の配当で食べていける。この株式を売却可能にしてしまうと、それをすぐに売ってしまい、また困窮する人たちが出てくると思うので、売却不可にしたほうがいいかもしれない。

これなら、ロボット税のような、イノベーションに懲罰を与えるような税金を企業に課さなくても済む。エレガントなやり方だとは思うが、政府がそもそもどうやってその企業の株式を取得するのか、という話は残るかもしれない。

いろいろ書いてきたがやはりBIなどのAI失業対策は容易に実現できない。私は、政治家ではなく、一私人にすぎないので、とりあえずこの文章の読者は救われてほしいとしか言えない。だから、当面は「仕事なき時代」に備えて、資産形成をおすすめする。これが椅子取りゲームすぎないという心の痛みはどこかに秘めつつも。